2024年9月24日号 |
ARTがひらく未来
大仙市民ギャラリーで作品展
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大仙市内の中学生らの作品展「地域とARTと中学生と」が20日から、大仙市民ギャラリーで開かれている。秋田公立美術大学の大学院生、曽根小椿(こはる)さん(25)主催の「『絵を囲む会』活動報告展」も同時開催。美術教育の役割や可能性を示した。
会場に並ぶのは中仙中学校、太田中学校、仙北中学校3校の生徒による作品、約200点。太田中の生徒は地元をPRするオリジナルコースターを制作し、色とりどりの「つながる文様」で地域の良さを表現。仙北中は大切にしたいふるさとの風景写真や銅板作品を出展。身近な景色や動植物を瑞々しい感性で捉えた。
中仙中は、地域の特産品を使った新しいお土産のパッケージデザインを考案。アイデアやリサーチ、キャッチコピーの検討などデザイン以外の部分で生成AIを活用するなど、最新技術と各々の感性を組み合わせた創作に臨んだ。
同校美術科の田中真二朗教諭は、いま求められているのは一つの答えを追求する教育ではなく、多様な答えや自分なりの解決策を生み出す能力、と話す。生徒も、美術の授業を技術修得のための時間というより「未来をつくる時間」、「新しい自分を見つける時間」と捉えている。
田中教諭は「多様性を尊重し、様々な見方や感じ方を大切にする姿勢が美術教育の核心で、それは学校教育全体にも通じる重要な要素。いろんな個性を持つ人が交流することで、互いのイメージや発想が広がっていく。美術を通じて養われる能力は、今後の社会で必要不可欠なもの」と話した。
小椿さんが主催する「絵を囲む会」は、本展参加の3校で実施された美術鑑賞会。小椿さんの作品「情景」を各校の美術部・造形部の部員らが自由なスタイルで鑑賞した。作品の設置から鑑賞方法まですべてを生徒らの選択にゆだね、展示や鑑賞方法による作品イメージの変化を体感した。
活動報告展では、鑑賞会の様子を紹介。生徒の感想や、同会で得られた気づきをもとに生徒が制作した作品も合わせて展示した。
小椿さんは「美術がもつ観察力・創造力・発想力は、多様性が重視されるいまの時代にこそ求められる能力。従来のスキル重視の指導法で美術に苦手意識を持った人が、潜在的な能力を発揮する機会を逃してしまうのはもったいないと感じた。美術教育の新しい可能性を追求しながら、視覚のみに頼らないART鑑賞や、年齢や障がいを超えて全ての人に楽しんでもらえる美術のあり方を探っていきたい」と語った。
作品展は29日まで。時間は午前10時から午後9時(最終日のみ3時)。
※写真は
小椿さんの作品「情景」(天井)などを展示
中仙中学校のパッケージデザイン
太田中学校のオリジナルコースター
缶バッジ制作のワークショップも開催
仙北中学校のふるさとの風景写真など
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