2024年12月5日号 |
「南外さいかい市」総務大臣賞
過疎地域持続的発展優良事例表彰
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NPO法人南外さいかい市(加賀正夫理事長、30人)がこのたび、過疎地域持続的発展優良事例表彰において、総務大臣賞を受賞した。加賀理事長(71)と佐々木繁雄事務局長(73)は11月27日、老松博行大仙市長を訪問し、受賞の喜びを語った。
生鮮食品や惣菜などを販売する「南外さいかい市」は2019年10月、地元のスーパー廃業後の買い物困難者を支援しようと、「南外ふるさと館」駐車場にオープン。「みんなが再会する場」という願いを込めて名付けられた。
現在は60〜70代のスタッフが店舗販売や移動販売車での巡回販売を行っている。移動販売車には週2回ほど、保健師資格を持つスタッフが同乗し、高齢者の見守りや健康相談を実施。高齢者向けの昼食付きサロン事業や空き家を活用した食品製造、中学生とのコラボ活動など、地域コミュニティの活性化に広く貢献している。
今回の表彰は、総務省と一般社団法人全国過疎地域連盟が主催し、過疎地域の持続的発展と風格の醸成を目指して、地域の課題に取り組み、活性化を図る優良事例を表彰するもの。県内団体の同賞受賞は平成4年(1992年)の皆瀬村(現・湯沢市)以来32年ぶりとなる。
老松市長は「本取組みは、大仙市のほかの地域のモデルにもなっており、南外さいかい市さんを頼りにしている地域の方もたくさんいる。市としても大変喜んでいる」と語った。
移動販売車の利用客の多くは、ひとり暮らしや高齢者世帯。買い物以上にスタッフとの会話を楽しみにしており、家族の話題や身の回りの出来事など様々な話に花が咲いて、販売時間は自然と長くなる。
オープン5周年を迎えたいま、いくつかの課題にも直面している。スタッフと利用者、双方の高齢化が進み、利用者の施設入所などで客数が減少、地元の農産物を提供してくれていた生産者が商品を納入できなくなるなど、利用者のニーズに十分応えられないケースも出てきた。
農機具の更新を機に営農をやめてしまう農家のケースもあり、耕作放棄地の拡大も懸念される。
そうした中、南外さいかい市が目指すのは「場所に関係なく、誰もが同じように暮らせるまちづくり」。地域のことは自分たちで!をキャッチフレーズに、理念の実現に向けて活動を続ける。
加賀理事長は「このような賞をいただけるとは思っていなかったので驚いている。活動を引き継いでくれるスタッフが増えてくれることが願い」と話した。
※写真は
表彰状を手にする加賀理事長(中央)と佐々木事務局長(左)
受賞の喜びを語る加賀理事長
老松市長に受賞を報告
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