2025年9月11日号 |
勇壮に
角館のお祭り
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仙北市角館町で9日夜から未明にかけ、400年の伝統を誇る「角館のお祭り」がクライマックスを迎えた。総重量数dにもおよぶ曳山同士が正面からぶつかる「本番やまぶっつけ」が町内各所で繰り広げられ、雷鳴のような衝突音と歓声が晩夏の夜空に響き渡った。
角館神明社と薬師堂の祭典にあわせて行われるこの行事は、地域の繁栄や商売繁盛、無病息災を祈願するもの。1991年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2016年にはユネスコの無形文化遺産にも登録された。
武者人形や歌舞伎人形で華やかに飾られた18丁内の曳山が、笛や大太鼓、三味線などで構成される囃子方と踊り手を乗せ、まちなかを練り歩く。各丁内には曳山の運行指示の権限を持つ「張番」が設けられ、黄色いタスキをかけた曳山の交渉員が入丁許可を求める光景が随所で見られた。
祭りの最大の特徴は、曳きまわしの道筋が決まっていないこと。曳山は参拝や上覧に向かう「上り山」と、これらの目的を終えた「下り山」に分けられ、路地で鉢合わせした際の通行優先権は上り山にある。一方、同じ山同士が出会うと優先権をめぐって激しい駆け引きが始まり、黄色いタスキをかけた双方の交渉員が運行状況や目的を主張し合う交渉場面が見られる。
ねばり強い交渉が続けられる中、それでも決着がつかなければ実力行使へ。曳山上の若者が笛を鳴らし、騎馬提灯を激しく振るのが「やまぶっつけ」開始の合図。
午後7時40分頃、西部若者と岩瀬若者一同、桜美町若者の曳山が角大前の丁字路で三つ巴のにらみ合いに。1時間近くにわたる交渉の末、同8時35分頃、3丁内の曳山がついに激突。若者たちが渾身の力を込めて押し出す曳山がぶつかると、辺りに地鳴りのような轟音が響き、見守る観客からは大きな歓声が上がった。若者たちが汗を光らせ押し出す曳山は何度もぶつかり合い、その度ごとに観客からは「おおー!」というどよめきが起こった。詰めかけた人々は夜が更けるのも忘れ、若者たちの姿に拍手と歓声を送り続けた。
※写真は
豪快なやまぶっつけに歓声
祭り進行の最高権限を持つ張番
交渉員らの駆け引き
通りを埋める曳山
あでやかな手踊り
勇ましい人形
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