2025年10月2日号
「自分で決める」を支援
介護職員研修会

photo  大曲仙北地域密着型介護事業者連絡会(小松利光会長)は9月12日、グランドパレス川端で介護職員研修会を開催した。会員事業者の職員など約40人が参加。「『自分で決める』を支える〜認知症の人の意思決定支援のプロセスを学ぶ〜」をテーマに、支援を受ける側の意思決定を尊重するケアのあり方について理解を深めた。
 開会にあたり、小松会長は介護業界の厳しい現状や課題について触れ、「皆さんは身近にいる認知症の方や生活に不安を抱える方々の力になりたいという思いで、日々努めている。われわれの力を求める人たちに応えるためには、知識という武器を持ち、仲間とのつながりを大事にしながら課題に向き合っていかなければならない」と語った。
 講師を務めたのは、権利擁護や意思決定支援の第一人者として知られる、かわさき社会福祉士事務所の川崎裕彰所長。川崎所長は介護現場での豊富な経験を活かし、現在は高齢者・障がい者への虐待防止や成年後見制度活用、意思決定支援等の研修講師として活躍している。
 川崎所長は「私たちが利用者さんに代わって決めてあげたり、自分が利用者さんのことを一番分かっていると思い込んでしまうことがある」と支援する側が陥りがちな落とし穴を指摘。本人の力になりたい一心で奔走するうち、当事者の意思確認が不十分だったと後になって気付く場面もある、と体験を交えながら話した。
 研修では、支援を受ける高齢者等の置かれがちな状況にも目を向けた。様々な喪失体験による自己肯定感の低下、「介護・支援を受けなければ生活できない」という力関係の不均衡が招くパワーインバランス。川崎所長は「相手の権利を侵害しているかもしれないという前提に立つことが必要」と力を込め、支援する側・される側の関係性が与える影響の大きさに理解を促した。
 8つのグループに分かれて実施したグループワークでは、現場で得た気づきや工夫、実践していることなど活発な意見交換が行われた。意思決定場面における支援経験を振り返るワークでは、利用者と家族、職員それぞれが異なる立場で抱える葛藤について言及する場面も見られ、メンバーは何度も頷きながら熱心に耳を傾けていた。
 参加した職員は「他の施設の方から教えられることも多かった。大変勉強になった」と話した。
 研修では、異なるサービス事業者同士が交流できるよう座席配置を工夫した。小松会長は「お互いを知り、会社やサービスの枠を超えて相談し合える関係を築く機会になれば」と期待を込めた。

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※写真は
グループワークに臨む参加者
あいさつする小松会長
闊達な意見交換
講師の川崎さん

詳しくは2025年10月2日(木)号をご覧下さい。
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